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パリの夜は暮れぬ <旅立ち 5>

夕方、みんなでマルシェ(市場)へ夕食の買い出しに行く。長いホロつきのワゴンに、色鮮やかな野菜や果物たちが彩り良く並べられ、山積みに置かれていた。巨大なパプリカやナス、ズッキーニ、生鮮の所には業務用の大きなトマト缶に山盛りのムール貝・・日本ではすぐに手に入らない(当時)野菜や果物、魚介類が溢れていた。人々のエネルギーを感じる。初めてのマルシェ、見ているだけで楽しかった。帰りに、焼きたてのバゲットを買って帰る。

キッチンは3~4畳ほどの広さがあった、家の全体の広さからすると、狭いように感じる。冷蔵庫と小さな食器棚と小さなテーブルが置いてあった。ここで作って、食事は向かいのリビングでするそうだ。3人も入れば、もうギューギューだ。皆でさっき市場で買ってきた材料で夕食の準備に取りかかった。と言っても私は後ろの方で見ていたのだけれど。

流しは小さく白いタイル張りで、決して日本のような快適なキッチンではない。文化が違うと、道具も作り方も違うんだなと感心した。包丁はペティ・ナイフ(日本でいう果物ナイフ位の大きさ)でまな板を使わずに切っていた。
まな板は使わないの?と聞くと、ここにあるわよ。と言って、チーズを切るような小さくて、薄っぺらなトレーのようなものを見せてくれた。器用なのか、そうでないのかちょっと考えてしまった。料理もお鍋をたくさん使わず、仕上がりまで全て一つで出来上がってしまう。私の知っていたフランス料理のような複雑は行程はなく。作り方も簡単で質素な感じがした。勿論学生だということもあるだろう。

夕食が出来上がった。豚肉のソテー、マスタードソース(だったと思う)と、マッシュルームのサラダにチーズ、それにバゲット、学生にしては贅沢な料理だという。私の為に奮発したんだ、と言ってくれた。本当にありがたいと思った。パリで食べる初めての食事、.みんなの優しさと、ここに来れた事に感謝しながら食べた。

a0029889_1901173.jpg食後散歩に誘われた。本当はとても疲れていた。でも皆の暖かい気持ちが嬉しかったので、カメラを持ち皆と一緒に出かけた。
ムーランルージュの前を通る時少しドキドキした。大通りを右に行くと、モンマルトルの丘がある。多くの画家たちが好んで描いた場所である。ゴッホの家があり、さらに歩くとサクレクール寺院があった。こんなに早くここへ来れるなんて、すごく嬉しかった。
寺院の白壁が夕焼けに照らされ茜色に染まっていた。私達はドガの家の前を通り帰ってきた。

何もかもがさりげなく、目の前に現われる。眩暈を感じそうになる。あまりにも色んなことが起こりすぎて、いま起こっていることは全て夢かも知れない、と思った。
夢なら覚めないでほしい。

長い長い一日が終わろうとしていた。

(つづく)

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*画像はその時撮影したものです。時刻はすでに夜の8時~9時頃だったと思います。
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by soleiljap | 2005-03-12 18:20 | ■ Parisのお話 | Trackback
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