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ルームメイト <旅立ち 最終回>

中の方から、扉に向かって歩いてくる足音が聞こえた。
"Qui est-ce?" (キエス?) (どなた?)
優しく落ちついた声だった。これから一緒に住むかも知れない女性だと思った瞬間、緊張した。一緒に来てくれた日本人の女性が流暢なフランス語で対応した後、ドアがゆっくり開けられた。
黒髪のショート・ヘアーの小柄なアジア人女性が出てきた。自分と同じ位の目線で待っていたので、ちょっと目線を下に向けるような感じになった。相手の女性は、澄んだ大きな目で私と、もう一人の日本人の顔を交互に見ながら、笑顔で 「アントレ」(お入りください)と言って、私達は中に通された。

やわらかいシャンデリアの明かりが白い壁をクリーム色に染めている。思ったより薄暗い空間。天井の彫刻が陰影をつくりよりいっそうその存在を大きくしている。
大理石の暖炉、置かれた木製の家具は、どれもシックでとても心地いいと感じた。
彼女はインドネシアのジャカルタ出身で、パリに来て5年、パリ大学に通い政治学を学んでいる学生だった。 お互いのことを通訳を介し話した。静かでとてもクレーバーな感じの彼女は、大学の専門、母国のこと、将来について話をしながら、私にもたくさんの質問をしてきた。穏やかで優しい口調の中にもしっかりとした意思や芯の強さを感じた。あまりにもしっかりと将来のビジョンを語る同世代の彼女に私は正直圧倒されていた。
 
それから彼女は部屋を案内してくれた。リビングは15畳ほどあっただろうかか、暖炉の上のインドネシアの置物が優美な曲線の装飾の中で、違和感無く溶けこんでいたのが印象的だった。隣に寝室があった。緑色のカバーがかけられたシングル・ベッドが2個それぞれ壁に沿って置いてあった。3畳程のキッチン、お風呂・・・と順番に説明してくれた。
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彼女はその日のうちに一緒に住む事を決めてくれた。細かい取り決めや今後の予定を話し合った。

パッシーの家に行く日、皆にお礼とお別れを言い、初めてブランシュの駅からパッシーまで一人でメトロに乗った。
ブランシュの駅では、自動改札口に大きなスーツケースが通らず思案していると、男性が親切に中から持ち上げてくれようとしたのに、持っていかれると思い、思わずボストンを押さえ込んだ私。メトロの連絡口で方向がわからなくなり案内を見ながらキョロキョロしていると、親切に男性が声を掛けてくれたのに、やはり冷たくあしらった事。・・・いま思い出すたびに失礼なことをしたと思う。(日本の男性はあんなに親切じゃない。)

パッシーの家に着くと、彼女はバカンスでロンドンへ行っていたので、留守を頼まれたスウェーデン人の女性(以前のこの家のルームーメイト)が迎えてくれた。

その夜ベットに入ると、これからやらなければならない沢山の事をいろいろ考えているうち、中々寝れなかった。


(おわり)
                       * * * * *         
日々の何気ない生活の中で、あの時にことがふとよみがえってくる瞬間があります。ほんの一瞬、はいり込んで消えていく。脳裏に焼き付いて離れない風景もあれば、おそらく年月とともに少しずつ風化していくものもある。そう感じた時、焦燥感にも似た感覚で書き始めていました。
今、思い出しても本当にいろんな人に助けてもらったな、という思いでいっぱいです。あの時お世話になった人たちへの感謝の気持ちをこめてここに記します。

               駄文に最後まで付き合ってくださってありがとう。
                      この物語の最初へ
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*実際はもっと自分のことルームメイトについても詳しく書いていたのですが削りました。
*見取り図はだいたいの感じです。



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omake
■Passy駅を地上に出た、向かいのアパルトマンが、映画 “ラスト・タンゴ・イン・パリ”(マーロン・ブランド主演)の舞台になった建物だという事を後で聞きました。映画は興味本位で、のちに日本で観たのですが、不倫の男と女の心象を描いたものだったと思う。つまらなかったので端折ながら建物だけをみていたら、上層階の緑の円筒部分がでてきた時はさすがに懐かしかったです。

a0029889_2230968.jpg■ルームメイトのベッドで。ぬいぐるみを抱いて二人で撮りあいっこ♪(ジャージです)
a0029889_2235881.jpg■真中、ルームメイト、右、超美人のドイツ人 仲良し三人
右のドイツ人のアパルトマンでパーティ
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by soleiljap | 2005-03-15 14:17 | ■ Parisのお話 | Trackback(1)
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Tracked from ころころコロラド☆おいし.. at 2005-03-17 08:34
タイトル : 仏英旅行記一日目
  いきなり凱旋門のどアップです。というのも、おととし(2003年)の6月に行ったフランスとイギリスの旅行記を、今ごろですが始めることにしたからです。 このブログの前に書いていた「さるさる日記」に、9日目までは載せたのですが、完成しないまま今に至っています... more
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