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小豆のシフォン・ケーキ
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人は時として、自分の身に降りかかった現実を消し去る事ができたらと思う。
そして、闇の奥にしまったはずのその記憶が突然と音を立てて目覚めることもあるんだ。

先日、いつものように娘とお喋りしていた時、ママの子どもの頃のお話聞かせて、と尋ねてきた。「じゃぁ、お兄ちゃんが今中学生だから、ママが中学生の頃のお話ね。」
今ほど娯楽がない時代の話を、娘は興味深く聞いていた。娘の興味がここで終わるはずがなく、話しはだんだんとさかのぼり、「小学生の頃は?」と尋ねてきた。その瞬間、私の中で何かがパンとはじける音がした。あの時の記憶が鮮明によみがえってきたのである。

幼かった私は、こんなことがあるんだ、いえ、あったとしても自分の身にふりかかるなんて、突然起こった出来事に動揺した。そして、これからこの事実を背負って生きていくなんてあまりにも悲しすぎる。できることならそのワンシーンを消しゴムで綺麗サッパリ消し去りたい、と切実に思った。


その頃、私は今の娘と同じくらいの11歳で、男の子もちょっとばかり意識するようになり、おしゃれにも目覚める年頃。毎朝着ていく服に合わせ、髪に結ぶリボンの色を選んでは、丁寧にポニーテールの髪に結ぶ、そんな女の子だった。

時代は全国的にボーリングが流行っていて、私の両親もマイボール、マイシューズをオーダーするほどの執心振りで、休日は勿論、時間を作っては子ども達を連れだって「家族ボーリング大会」と銘打って腕を磨いていた。私もボーリングは嫌いではなかったので、当たり前のようについていっては、皆で一緒に歓声をあげ楽しんだ。

ある週末の早朝、私達は近くのボーリング場へ出かけた。早朝は値段も安くできると言う事で、何度か通ったことがあった。おそらく朝6時くらいからのスタートだったと思う。
いつものように、両親が受付をしている間、私達は自分用にボールを選んだ。シューズを履いて指定のレーンに行くと、なんとお隣のレーンに、同級生がお兄さんに連れられて来ているではないか。友人のお兄さんは、一人は大学生か就職しているだろう年齢、もう一人は中学生か高校生、どちらにしろ私からはとても大きな男の人たちに見えた。

11歳の少女の私は、知り合いが隣にいるという、ちょっぴり恥ずかしい思いが入り混じった心境でゲームを始めた事を、今でもはっきりと思い出す。

いつのまにか夢中になり、それぞれの家族から歓声やら笑い声が聞こえてきた。
そして、その出来事は突然起こったのだ。

何巡かして私の番がきてレーンにたったその時、偶然にお隣のレーンにいた同級生のすぐ上のお兄さんと同じタイミングで立った。一緒にレーンに並んだ時、片方が譲るというマナーがある。紳士な同級生のお兄さんは年下の女の子に、先に投げてもいいよと言ってくれた。

お隣のレーンにはボールを持ったままのお兄さんが見ている。その後ろには同級生とその兄。そして私の後ろには、父と母、そして姉妹が見つめている。緊張が走る。
ボールを胸のところで持ち、左手を添える。視線は数メートル先のピン。なおも皆の視線を背中に感じながら右足を踏み出す。と同時に右手のボールを前から後ろへと勢いをつけ振り、左足を踏み込みながら満身の力を込めてボールを投げた。投げた!

つづく



小豆のシフォン・ケーキ_a0029889_1615876.jpg
随分前に作った小豆のシフォンケーキです。いつもの基本のレシピにアレンジで手作りの餡子をいれてみました。フワフワで美味しかったのですが。この時餡を80gいれたのですが、もう少し多くてもいいかなという印象。水の微調整をしながら次回は100g入れてみようと思います。
アレンジ自在のシフォンは、実験感覚で楽しみながら作れるケーキ。小豆のシフォンと同じ時期に「人参と黒胡麻きな粉のシフォン」もつくったのですが、こちらはイマイチのできあがり。
by soleiljap | 2005-12-08 13:07 | ◆ Sweets
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