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絶体絶命の日

子どもの頃、我家の玄関のドアに白い大きな紙が張ってあった。そこには母の字で、
『知らないおじちゃんだよ。たすけて』 と書かれてあった。事故が起きそうなことを想定して、すぐに言葉に出せるように、と一番、目につきやすい場所に母が書いて貼ったのだ。
世間では、お金目当てばかりでない誘拐が多発ししていて、娘3人を持つ親として、そういうニュースは敏感だったのだろう。

結婚して子どもを持った今でも、誘拐のニュースは耐えない。小さな命を簡単にもぎ取っていく事件を見る度に、誘拐の怖さと、犯人への憎悪、そしてあの時玄関に貼ってあった白い紙の事を思い出す。

これから書く事は、つい先日の出来事。違う場所でも大まかに書いたのですが、自戒と反省も込めてblogに載せることにします。



先日、我家に数年前から騒がれている“オレオレ詐欺”なる電話が入った。
と今だから「詐欺」と言えるのであって、その時はまったく疑う余地などなく、天変地異のごとく恐れおののいた。

事の流れはこうだ。

まず巧妙な手口で、息子になりかわった子ども?が怯えた声で、『○○(息子の名前)だけど、怖いお兄さんにつかまって・・・』 と聞き取りづらいが涙声で訴えてきた。
すぐに、次なる男が電話口に現れると、声を荒げまるで極道。
『お宅の息子が私にぶつかってきて時計が壊れた、スーツもボロボロだ。どうしてくれる?』
その時点でオカシイ、と思うはずだけれど、最初の声(子ども)で動揺してしまった私は、 これはヤクザのよくある手口だわ、と思いながらも信じてしまった。
居場所、状況を尋ねると、場所は分からんの一てん張り。自分が被害者なんだとヤクザ言葉で言うばかり。

「電話ではよく分からないので、今そちらに夫と伺おうとおもう。事情を聞かせてほしい」と言った。
すると、男は、『時間がないんだよ!これから関西の組に帰るんだ、息子を連れていく』 とさらに語気も荒荒しく恐ろしいことを言い出した。
お金の事はいっさい切り出さず、恐怖心をあおる様に脅しをかける。(手なのか)

夫に電話をさせてくれと頼むと、旦那は仕事だろ、警察に連絡入れるだろ、面倒だ。母親と話しをつけたいという。
誰にも助けを求められないなんて。涙があふれてきた。 

あ、携帯がある。すぐに携帯を取りにいき、夫の会社に電話を入れた。
男からかかってきた電話の受話器(子機)左耳にあて、右手で携帯を操作した。
誰もでない。夫の携帯を呼び出した。出ない。呼び出しコールだけが聞こえてくる。
絶体絶命。  
どうして欲しいのか。と涙ながらに訴えた。すると、あんなに金を否定していた男が、『金を払え、そうしたら息子は返す』 と言ってきた。きっとこちらから、金銭の話しを持ち出してくるのを待っていたのだろう。

『誘拐じゃないですか、犯罪ですよね』 というと、犯罪でもいいんだ、関係ないよ、金をすぐ用意しろと。

(ここまでお読みの皆さん、あえて言いますが、これは「オレオレ詐欺」なのです。電話の向こうには息子なんていないんです。でも、お馬鹿な私は、誘拐事件と思い込んでしまったのです。)
  
すると携帯が鳴った。夫が着信記録から電話をしてきた。「もしもし!」「もしもーし!!」という夫の声。 男に気づかれないように、受話器をこちらに向け、話している内容が向こうに届くように大きな声で 『ですから、夫に連絡させてください』 と何度も叫んだ。
気づくと電話は切れていた。

お金の額を聞いた。
『壊れた時計2コで、うん百万円だ』
目の飛び出す金額。

そんなお金はないというと、銀行にはいくら入っているんだ。少しもないのか。ダンナの通帳はないのか。一銭もないのか。と押し問答すること数分。

そんなお金は一銭もないと言うと、プツッと電話が切れた。あまりにもあっけない幕切れ。

慌てて夫の携帯に電話した。夫は走っていたのだろう、上がる息で、私の話しの途中で、「バッカだなー、それはオレオレ詐欺じゃないか!!すぐ○○(息子の名前)の学校に電話しなさい」

息子は学校で勉強をしていました。声を聞いた瞬間、腰が抜けたようにへたへたと床に座り込んでいると、夫が帰ってきた。
なんでそんなことも気づかないのか、あんなに騒がれているのに!と言われながら、一寸の疑いもしなった自分と、あの数十分に起きた、心理的恐怖を思い出しながら、情けなさと犯人への怒りでいっぱいになった。

そして、それから数分後に警官が来た。
夫が、電話口で聞こえてくる内容から、会社のスタッフに連絡して110番させたのだ。

数年まえからあれだけ騒がれて、マスコミも取り上げている事件。いまでも沢山の人が騙され続けているオレオレ詐欺。今回は「オレオレ」という言葉はなく、銀行へ振り込めという指図もなかったが、その内容は更に悪質になってきている。

名前、年齢まで調べて、複数の人を使い、男達の迫真の演技は、騙されやすい人間にはまったく疑う余地など与えなかった。唯一の救いはお金を取られなかったこと。

最後に警察の方がおっしゃっていましたが、電話のコールがなっても6,7回まで出ないように、本当に急ぎであったら相手は待つはずだから。ナンバーディスプレーの電話機がいいともおっしゃっていました(我家はまだ古いものを使用)

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今回のことで、つくづく自分の甘さを痛感。これまで見たこともなかった世界を垣間見て、まるでTVか小説の世界でした。こんな事がすぐ身近でおこるんですね。もっとしっかりせねばとつくづく反省した出来事でした。

どうか皆様もくれぐれもお気をつけください。
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by soleiljap | 2006-09-24 11:48 | Trackback
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