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広重と印象派

先日の日曜日、TVで「日本の心の旅SP・蘇る浮世絵ロード」という番組がありました。
女優・壇れいがフランス印象派の画家たちに影響を与えたという日本の浮世絵をたずさえ、巨匠たちのゆかりの地を旅するという美術紀行。

今年は歌川広重の没後150年ということで、代表作「東海道五十三次」全55図が彫師たちにより3年の年月をかけ完全復刻されたことも重要なポイントのようです。

録画して3回観ました。
パリのマルモッタン美術館とオルセー美術館では、直接影響受けたという印象派の画家ピサロやマネ等の絵と広重や北斎の浮世絵とを実際見比べながら鑑賞するという、なんとも贅沢なものでした。
ジャポニズムという言葉が流行ったように、まさに印象派の絵画の中に、浮世絵の斬新な構図や色彩、日本の叙情までもが生きているんです。
後半は、広重の影響を特に受けたという、セザンヌ、モネ、ゴッホにスポットをあて、彼らの創作の現場を訪れながら、同時に、広重が歩いた日本の東海道五十三次の今昔を映しながらの検証は本当に興味深いものでした。


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「ローヴからみたサント・ヴィクトール山」セザンヌ

高校時代はセザンヌが大好きで、画集を手放しませんでした。大人になって、ドガやロートレック、そしてモネの睡蓮。とずっと印象派ばかり観ていたような気がします。
でも、ゴッホの位置はちょっと違った。セザンヌやモネのように画集を傍らに置くのでなく、遠くから見つめる感じでした。


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左;「夜のカフェテラス」ゴッホ / 右;「オヴェールの教会」ゴッホ

ゴッホの絵をみるとき、燃える太陽の黄色も、火傷しそうなオレンジ色も、深く澄んだ青色も、力強く描かれていればいるほど何故か心はとめどなく寂寥感に包まれるのです。孤独の叫びとか、そんな簡単な言葉では表せないもっと深い苦のうねりのようなものを感じていたからでしょうか。

セザンヌやモネの絵は模写できても、ゴッホの絵は誰にも真似できないと思う。
絵の具と一緒に塗りこめられた魂の叫びまで描けないと思うから。

今回、ゴッホの「青」について語られるところがあったけれど、これも広重の影響らしい。
ゴッホの青をみて、昔、フランスのフォンテーヌ・ブローという村で見た青空がこの世のものとは思えないほど美しかったのを思い出した。あの時の青空も何故かすごく寂しい青をしていた。

ゴッホの絵が凄いのは、時代を経てもいつも変わらぬエネルギーで私たちを感動させてくれること。彼の心の叫びが絵の具のうねりとなって描かれているからでしょう。それは未来永劫決して色あせることはないと断言できます。

でもね、あなたの大好きな絵は?と聞かれたら、やはり真っ先に答えるのは、「モネの睡蓮」だと思います。
何層にも重なりあう深いモーブ(紫)は大きな懐に包みこまれるような安堵感があります。
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「睡蓮」モネ



今回、歌川広重の「東海道五十三次」を観て、あらためて浮世絵の素晴らしさを再認識しました。
季節感を大事にし、その移り行く風情を美意識として表現する日本人の感性は世界に誇れるものなのですね!


先日、第138回・芥川賞に決まった川上未映子氏のblogをみていたら、過去にゴッホについて書かれていました。ストレートに胸に届きます、皆さんにも是非読んでほしいです。
こちら→「わたしはゴッホにゆうたりたい」
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by soleiljap | 2008-01-29 14:52 | ◇ 美 術 | Trackback
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