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天使と悪魔のすむ森 
 
 パリの滞在も一年が過ぎた夏の初め、友人と3人で、車でウィーンの旅へ
 でた。ドライバー2人という、かなりハードな旅である。パリを出た私たちは、
 フランスの田舎道を、急ぎ足でドイツに向った。

 フランスとドイツの国境を越え、旅の疲れを取るべく、ミュンヘンで一泊。
 疲れた身体に、美味しいビールとソーセージ、シュークルートは格別だ。
 ドイツ観光も出来ぬまま、翌朝早く、私たちはあわただしく旅仕度をして、
 次に目指すオーストリアのウィーンに向けて出発した。
 我々は昼も夜も走り続けた。国境を越え、無事にオーストリアに入った。
 しかし、それでもウイーンは遥か遠くだった。


 いくつ山を越えただろう。

 満点に輝く星は、夜道を照らし、星と月明かりだけが、私たちの車を導いて
 くれる。頼りげない地図も、何処までも続く闇の不安も手を伸ばせば届き
 そうな月が全てを忘れさせてくれた。

 突然、黒い雲が空を覆いはじめたかと思うと、何処からともなく真っ白な
 霧が現われた。またたく間にあたりは闇に包まれ、我々は車を止め、霧が
 晴れるのを待つことにした。

 暗闇から聴こえる不穏な風の音、木の葉が揺れる音、いくつもの風が
 重なり、徐々にエネルギーを蓄え、山肌を伝ってこちらへ迫ってくる。

 得体の知れない恐怖感。闇の中で一瞬、音が消えた。
 次の瞬間、風は闇を突き破り、一気に濃霧をのみこみ、そのまま上空へと
 連れ去った。千路に乱れた風は正気を取り戻し、月がまたあたりを照らしだす。

 夜空の星たちがまた輝きを取り戻した。ため息と静寂が戻った。
 まるで天使と悪魔が住んでいるかのように、森は静寂と暗黒を繰り返す。


 シューベルトの”アヴェ・マリア”と、モーツアルトの”レクイエム”が聴こえてきそうだ・・・

目に焼きついて離れない風景や、心に染み込んで忘れられない情景は、どれも時間とともに色あせる事はない。                        Sep./2003 soleil記



今朝、シューベルトのアヴェ・マリアを聴きながら、あの時の風景がよみがえってきました。
夕方からのホーム・パーティーの準備で動き回っています。パーティーのお料理は後日UPします。
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by soleiljap | 2004-07-20 11:41 | ■ Parisのお話 | Trackback
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