初めてごらんになる方は、この地味な色で風かわりな風体から、これがお菓子だなんて思うでしょうか。 物心ついて、気がついたら当たり前のように食べていた「あくまき」が、全国区のものでないと知ったのは、東京で暮らすようになってから。 昔は「ちまき」と呼んでいて、東京でちまきを頼んで、竹の皮に包んだ三角の中華風おこわが出てきたときはホントに驚きました。 作り方も独特で、灰汁(あく)に漬け込んだ竹の皮に、同じく、灰汁(あく)に一晩漬け込んだもち米を包み、灰汁で煮るのです。 灰汁とは薪からでる最後の燃えカスを水で溶いたもの。私が子どもの頃は、お風呂も今のようにガスの湯沸かし器式ではなく、薪でたいていました。春になると、母が炉に残った灰をかき集めている姿をよくみかけました。 今はあくまき用の灰として、スーパーで売られているようですが、一般家庭では作られることもなくなってしまったようです。 小さい頃、庭先に準備された灰汁を初めて見た時の衝撃は今でも忘れられません。ぶくぶくと灰色の粉の残ったお湯の表面。こんなもので食べ物を作るなんて、子どもながらに何か恐ろしさを感じたものです。(笑) 資料にも、薩摩藩が関が原の戦いの際、また、豊臣秀吉の朝鮮出兵のときにも、保存食として持っていったと記されています。なんと500年以上前から食べられているんですね。 保存性は驚くもので、戦地で他軍の兵糧が尽きる中、薩摩軍だけはお腹を満たしていたそうです。 というのも、灰汁につけ込んだもち米を、さらに灰汁で長時間煮ることで滅菌作用があり、竹の皮の抗菌作用がさらに働き、保存のきくミネラル分が豊富に含まれたアルカリ性食品になるそうです。 さて、最後になりましたが味の方は、長時間煮ることでもち米が餅のようになり、灰汁に一晩つけたことで全体が琥珀色になります。灰汁の苦味と回りのトロンとした部分にきな粉&黒砂糖がからんで、なんとも言えない美味しさなのです。 このきな粉の画像を見て、生唾ごくりされた私と同じ薩摩の人。目だけでも楽しんでくださいね♪ ちまきを切るために使うのです。包丁では切り辛い断面も、ぬらした糸をくるんと巻いて縛ると、きれいに切れます。 実家にいたころ、あくまきの季節になると、母が台所のシンクの上の棚からいつも糸を垂らしていました。 我が家の春の風物詩・・・(笑) 先日の帰郷の際、妹が3本お土産に持たせてくれたのですが、一本をすぐに食べて、残りを母に言われたように、一個ずつラップで包んで冷凍。 しかし、冷凍庫のものもあっという間になくなってしまいました。娘も気に入って二人で食べ尽くしてしまいました。また食べたいねと話している今日この頃。 これはまさに叡智の食べもの。このような素晴らしい食べものを生み出した薩摩の先人に感謝。
by soleiljap
| 2009-04-11 09:25
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