カテゴリ:◇ 本( 16 )
なつかしいひと
最近の読書の連鎖はとどまることがなく、今も進行中の本が3冊。 同時に数冊読むのってどうなの? といつも自分に問うています。
図書館から“到着メール”の連絡がはいると、会社の行き帰りにピックアップ。 その度、どんな本かしらと、数行目を通すと、もう止まらなくなってしまう。 たまには面白くない本もありますが、最近はあまり外れがない。

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平松洋子の 『なつかしいひと』

その前に
一番最初の平松洋子との出会いは、『おとなの味』。最初の一行でファンになった。
書きだしはこう。

夏休みの昼寝は、いつも水色のボンボンベッドだった

そうそう!私も同じものを使っていた。 ビニール製の3段折りのベッドは開く時、カチカチカチと音がして、私が水色、妹がピンク。 ビニール製だったので、寝返りをうつたびにキシキシと音がして汗ばんだ肌にべっとりとくっつくのが嫌だったっけ。(笑)

世代が同じだからか、彼女の視点はいつも自分のそれにジャストミートして、彼女の書くものはどの本も楽しく、あっという間に読破しました。


そして、今回の 『なつかしいひと』 は今までのエッセイとはちょっと違うかも。(そう感じたのは私だけでしょうか)
食べ物や道具類へのこだわり、たくさん食べ歩き、沢山見てきたものしか語れない切り口で今までは、腕まくりしながら書いている平松洋子の姿が目に浮かんだのですが、この本は今までのものとは少し趣が違いました。
エッセイなのですが、随想という言葉のほうがぴったり合う。
たおやかになびく柳のように、しなやかでゆったりとした空気感は、いつまでもここで寛いでいたいと思わせるもの。

一瞬を切り取ったその瞬間に平松洋子は彼女の世界をここ狭しと描いていきます。絹糸が繊細な工程でおられる布のように、五感全てを総動員させるその光景は、ただ「うんうん、そうなんだよね・・・」と、うなずくばかりでした。

読み終えても暫くその情景や感触、ゆれる心の移ろいまでも残像となりはりついていました。
めくるページを名残惜しみながら読んだ本、久しぶりです。普段なら図書館に返して終わりなのですが、やはりこの本も手元に置いておきたい。さっそく本屋へ走りました。

秋の夜長にお勧めです。
「野蛮な読書」は今読んでいるところです。


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そして、気になる本

 有吉佐和子  『青い壺』
 石井好子   『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』
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by soleiljap | 2012-10-10 12:05 | ◇ 本
一日一生
意識が睡魔に引っ張られていく感覚は何とも心地いいもので、雨の音を聞きながら、本を持ったまま爆睡。
久しぶりに雨を見たような気がします。視界のない空をみながら、木や草花が喜んでいるだろうなとニンマリ。

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「一日一生」と「花さき山」を読み直しています。

この本は、村木厚子さんの紹介本で、つい最近、氏が厚労省の局長に復帰するというニュースを聞き再読。

『花さき山』は娘にも読ませました。読み終わった彼女は、今まで読んだ絵本の中で一番良かった・・・としんみりと言っていました。


『一日一生』、一日を一生と思い精一杯生きる。精一杯生きてもし失敗したら、一生懸命反省して、明日生まれ変わればいい。
そう語っているは、比叡山の僧侶、酒井雄哉(さかいゆうさい)師。千日回峰行を二回も成し遂げた天台宗大阿闍梨(だいあじゃり)さんです。

千日回峰行は、比叡山中を1000日かけて回峰巡拝する天台宗独特の修行法で、織田信長が比叡山を焼き払ってから400年もの間、この行を2回成し遂げたのはわずか3名だそうです。
それほど過酷な行で、しかも一度「行」に出たら挫折は許されず、いつでもその場で自害できるように、肩には死出紐(しでひも)、腰に宝剣といういでたちなのだそうです。

そんな方なので、どれほど厳しいお坊さんなのかと思うと、それが違うのです。本を読みすすめていくと、いつの間にか優しさに包まれて穏やかな自分がいる。

何度読んでも、あらたに気づかされます。いつ読んでもそれは終わりがなく続くのだろうと思うと、決して手放したくない本。酒井雄哉(さかいゆうさい)師も言っているように、「自分なりに腑に落ちると、人はそこで考えることを止めてしまう、答えが分からないからいつまでも考える。肝心なことは答えではなく、考え続けることなんだ」と。


人は森羅万象、自然の中で生かされ助けられています。自然の中で人間が支配できるものは何も無いはず。人間が勘違いしたときに大きな過ちが生まれます。
戦争・・・そんなことも頭をよぎる今回の領土問題。物質からは決して答えは見出せない。
資源があると知ると急に領土権を主張、そんなことさせるかと国有化。貧富の差にあえぐ国民は暴徒化し、気に入らぬものを壊す暴れる。

「仏さんは人間がたわいない子どもみたいな言いっこしているのを見て『知ったかぶりしおって』とあきれているかもしれないよ」
酒井雄哉師の言葉は、今の政治家や当事者たちの耳には届いていかないのだろうと思うと悲しい。
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by soleiljap | 2012-09-19 16:52 | ◇ 本
最近読んだ本
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久しぶりに本の記事です。
読む本の9割が図書館の本。 雑読、乱読の私は、新聞の書評や「週刊ブックレビュー」(BS)は
とても参考になります。しかし、すぐに予約をいれても 何十人待ちという状態。忘れたころに来ることも多く、読みたい時にすぐに読めないのが現状です。

↓の2冊はブログで紹介されていた本で、予約をいれて比較的すぐに届きました。

 前を向いて、歩こう。 「石巻のイギリス人」からのメッセージ   
   リチャード・ハルバーシュタット (著)


この本は、すこし前に「色彩ソムリエ―ルR 坂内里嘉子のアトリエにようこそ」のRikakoさんが紹介されていました。
石巻で震災にあい、原発不安の中、イギリス政府からの帰国勧告を断り石巻にとどまったイギリス人のリチャードさんが、震災からの半年間、彼が感じった心の変化や葛藤、また日本への思いや、友情を綴った本です。

娘にも読ませました。一気に読み終え、あらためて震災の凄さ、人と人との絆を感じていたようです。
これから、3.11に向けて震災関連の放送がたくさん流れるでしょう。言葉に尽くせないほどの壊滅的な状況、苦しさは体験した人でなければ分からないのかも知れません。でも、何かできる、一緒に乗り越えていこう、そんな気持ちでいっぱいになりました。


 「料理研究家」たち    宮 葉子(著)

今をときめく5人の料理研究家たち(藤野真紀子、有元葉子、上野万梨子、北村光世、枝元なほみ)を取材し、著者の目と心を通して見えたもの、感じたことが素敵な文章で綴られています。
今日日、料理研究家と言われる人たちは星の数ほどいて、料理やレシピはそれなりのもを作れても人として魅力を感じる人は中々いません。(個人的意見です)
そんな中で有元葉子さんは別格で、料理を通して一つの哲学を教えてくれるような気がしていました。今回この本を読んで、著者と一緒に何度頷いたことでしょう。端的な会話から溜飲が下る思いを幾度となく感じました。

例えば、お母様のことが書かれている所で
「母はお茶のお稽古を長くしていました。母親がひとつ好きなことを勉強し続けて、ちゃんとしたものを家族に食べさせ、子どもと一緒に遊ぶ。その積み重ねで、子どもはこれが生活なんだ、と身につけていきますよ。食べ物のことは体が覚えていますから、大人になっても変なものは食べたくないですし、必要な時期が来れば自分で料理をするものです」

本当にその通り。食べ物を通して心も育ちます。お母さんの作る毎日の食事がいかに大事なのか、言わずもがなです。

世の人気の料理研究家と呼ばれる人たちの食に向かう姿勢はやはり素敵です。 お料理が好きな方、そうでない方もおすすめの本です。


簡単に書く予定でしたが、長くなりました。
夫が今朝の通院で、インフルエンザA型と分かりました。3月に入ると娘の卒業式もあり、いろいろと忙しくなるので、私まで寝込むわけにはいきません。

皆さまもお気をつけくださいね。
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by soleiljap | 2012-02-25 00:48 | ◇ 本 | Trackback
読了  2009年7月


● クリムト 金色の交響曲    宮下 誠・著

● 巨匠に学ぶ 構図の基本   視覚デザイン研究所

● ラグーザ・玉       加地悦子・著

● 一色一生         志村ふくみ・著

● 和のアルファベットスタイル   堀井和子・著
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by soleiljap | 2009-08-01 23:05 | ◇ 本
読了  2009年6月まで

【6月】

● 走ることについて語るときに僕の語ること   村上春樹・著

● こころを言葉に      日本エッセイスト・クラブ編

● 向田邦子との20年     久世光彦・著

● 天使への扉        イングリット・フジ子・ヘミング・著

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※ 1月から5月分は記録なし

思い出す限り、、、

● 青いバラの夢 フジコ・ヘミング画集            フジコ・ヘミング
● フジコ・ヘミング魂のピアニスト               フジコ・ヘミング・著 
● イングリット・フジコ・ヘミング私が歩んだ道、パリ    フジコ・ヘミング・著
● 青い玉                              フジコ・ヘミング・絵

● 名画は遊んでくれる     結城昌子・著
● ルンルンを買っておうちに帰ろう 林真理子・著
● 私をかえたこの一冊





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最近、自分の中で時間配分が上手く運べてなくて、毎日押せ押せの状態で一日を終えているような気がします。
それに加えて、もの忘れの多いこと。昨日のことも遥か遠い宇宙のはてにいったかのように、たよりない細い糸をたぐり寄せながら記憶を呼び戻しています。
すぐに忘れるくらいのことなので勝手に宇宙の果てでも地球の反対側にでも行ってしまえ、なのですが、お気に入りの本は、思い出したい。
なので、本のタイトルはその都度ちゃんと記録しておかなければならないと反省しています。だって、2回は読まないと中身さえ、えーと、、なんてことになりかねないから。(笑)
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by soleiljap | 2009-07-03 09:14 | ◇ 本
『2日目のプティ・デジュネ』
a0029889_12243330.jpg堀井和子・著 『2日目のプティ・デジュネ』

息子の文化祭へ行く電車の中で読む。

ヨーロッパを中心に、ホテルや食事、風景をイラスト写真をまじえながら、料理スタイリストの視点から綴られた旅エッセイです。
ホテルを選ぶ条件は朝食のパンと美味しい紅茶。窓からの眺めがよくて、草木や自然が美しいこと。
時間を大切に思う気持ちや物へのこだわり、研ぎ澄まされた感性は生き方にそのまま映し出されてるんですね。一緒に旅をした気分になりました。


今回、往復の電車で2時間ちょっと、本の旅はあっという間に終わりましたが、その間は都会の雑踏も喧騒から離れた別世界。
読み終えて、パタンと表紙を閉じて顔を上げた瞬間、目に飛び込んでくる統一性のない建物やばらまかれた看板、看板。 もう少し綺麗にならないかな、この街・・・・・・。現実に戻されたました。(笑) 


最後のほうに、「カメラよりノート一冊!」という、堀井さんならではの一面をうかがわせる文がありました。

旅には一眼レフは持っていくが、これはと思った時にしか撮らない。その代わり、その日食べたものや心を動かされたものを思い出しながら、夜スケッチするそうです。だから、昼間感動したものを自分の目でじっと見つめ、見たいものを見たいだけ見る。というようなことが書いてありました。
確かにカメラは便利だけれど、撮ることに夢中になって、心と身体で味わうべき時間がさかれる。本当は自分の心でじっくり感じるものなのに。

これが刺激になってではないけれど、私も昔買ったスケッチブックを取り出して、今傍らにおいてあります。
そうだ、使い古したパステルもどこかにあったはず。
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by soleiljap | 2008-10-31 13:04 | ◇ 本
『食堂かたつむり』
a0029889_22372524.jpg読んだのは随分前になるけれど、忘れないうちに感想を書いておきます。

以前、あるTVのお奨め図書コーナーでコメンテーターが、「この本を甘くみてはいけません」というようなことを言っていたので気になっていた本です。夫も同時期に読み出したので、よく食事の時に話題になりました。

テーマは一言でいうと「再生」。
失恋した女の子が故郷に帰り、料理を作ることで、そして、それを食べて貰うことで、心を取り戻していくというお話です。

読み始めてまず浮かんだのが、よしもとばななの世界。感傷的劇画が漫画のショットのように脳裏に浮かんでは消えてを繰り返していました。この人は、よしもとばななが好きなのかな、と思いながら読んでいましたが、途中から、そんなことなど忘れ、すっかり入り込んでいました。

随所の詩的な表現が素敵で、(手で上下に開閉する)店のシャッターを、ちゃんと閉じないセルロイドの人形の目に例えたり、夕日のシーンを、蜂蜜を入れたコップに沈んでいく太陽というように、ノスタルジックで常に映像が目に浮かんでくる文章はとても好感が持てました。

最後まで意表をつく展開もあきさせません。料理の描写もどれも実際食べたくなる料理ばかりだったし、何より、登場人物が魅力的。という点でも、面白い小説の部類にはいるのではないでしょうか。

ただ、もっと欲を言えば、ここまで魅力的なプロットで登場人物も個性的なのだから、もう少し物語(内容)に厚みがあったらよかったのにと思う。妾のおばあさんや、お母さんの愛人について、もっと深く書いてほしかった。大胆な展開の一つ、エルメスの解体部分も薄い印象。(詳しくは知りたくはないけれど・・・)

今、アマゾンの評価をみて驚いたのですが、ここまで評価が分かれるのも面白いですね。それだけ沢山の人が興味を持ったということでしょう。

私は、純粋に次の作品も読んでみたいと思いました。
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by soleiljap | 2008-10-29 23:41 | ◇ 本
読了  2008/9月


● 食堂かたつむり   小川 糸 ・著  (ポプラ社) 

● 流星ワゴン      重松 清 ・著  (講談社文庫)

● きみの友だち     重松 清 ・著  (新潮社)

● コンビニたそがれ堂  村山早紀 ・作 / 名倉靖博 ・絵 (ポプラ社)


 ※「流星ワゴン」、「きみの友だち」の読後感想は → こちら

 ※「食堂かたつむり」の読後感想は → こちら
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by soleiljap | 2008-10-07 08:04 | ◇ 本
重松清の本
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8月、9月は重松清の本をまとめて読む。 家族でまわした本もあり、久々にもっと読みたいと思わせてくれた作家です。

「日曜日の夕刊」 「きよしこ」 「流星ワゴン」 「きみの友だち」

「きみの友だち」と「きよしこ」は夫と娘も読みました。「流星ワゴン」は息子も以前読んだことがあり話題に。
家族みんなで同じ本の感想を言い合う、いいものですね。

「きみの友だち」は、今、映画も上映されています。夫が娘に観にいこうと言っていました。一応、うん・・・と返事はしていたようですが、何かと忙しい娘、観るのは半年後のDVDになりそう。残念!>アナタ。

思春期の少女二人を中心に繰り広げられる連作短編集です。
男の重松清がここまで女子の繊細で時に残酷にゆれる心中を描けるのかと感動。

娘も、ただ今思春真っ只中の15歳。多感な頃です。友人関係では、中学校に入ってから小学校とは違うややこしい関わりに悩んだ時期もあったので、この本には共感できる所がたくさんあったと思う。
もともと平和主義の彼女はいい友人に恵まれてはいるけれど、違う角度から友人との関係を見つめるきっかけになったなら、この時期にこの本に出合えたことは本当に幸せだったのではないかと思います。

「流星ワゴン」は、今回読んだ本の中で唯一の長編です。時系列が複雑に絡まって、読む方も予想ができない展開に息をつけません。先に読んでいた息子が、小説って読みながら展開が見えてくるものだけれど、これはそれができなかった、と話していたけれど、まさにその通り。
3組の父と息子の心の隔たりやほど希薄な絆が、終盤になるにしたがって強く結ばれていくという話。亀裂のはいった父子が男同士、同じ年齢で出会うことで、お互いを理解し友情的関係をむすんでいく過程がいい。

重松作品で一番最初に手にした本が「日曜日の夕刊」
家族(親子)、恋人同士を題材にした短編。
子どもの心が切なく描かれていて、ずっと昔に刺さったままで忘れていた棘がふっとした瞬間に痛みを伴ってうずく、そんな感覚に何度か襲われました。読む全ての人がここに書かれている誰かに共感できるだろうし、また、胸がきゅんと切なく瞬間があると思います。そういう意味でも重松清って全ての立場の人の心が繊細に描ける作家なんだなと思う。

今回読んだ重松清の本の中で一番気に入った「きよしこ」。娘も同じことを言っていました。
言葉を巧く喋れなかった彼が、どもりの子を勇気づけるために書いた重松清自身の話です。子ども時代から大学に入るまでを、どちらかと言うと、楽しかったことより苦しかったことの方が多く語られています。一生懸命で健気な子ども時代、悩み多き少年時代、いつも喋れないことが大きな壁となって立ちはだかって、全てがそれとの戦い。でも、読了後に、この本から沢山の勇気をもらっていることに気づかされます。

「僕はどうしてうまく喋れないのだろう、心の中ではこんなにすらすら喋ることができるのに・・・」という言葉が胸にしみます。


長くなりました、最後にケーキの話を。
マンゴーピューレのお菓子は、暫くお休みと言っていたのですが、洋酒に漬けていたピールが50g残っていたので、再度マンゴーのバターケーキを焼きました。
今回は、スタイリッシュ型にぴったりの量で作れるよう、量を調整。前回と同じく別立てにしました。量もぴったりで味も回数を増すごとに落ち着いてきています。
まだ確定していないレシピだから、あれこれいじれるのですよね。
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by soleiljap | 2008-10-07 07:36 | ◇ 本 | Trackback
読了  2008/8月


● 日曜日の夕刊    重松 清 (新潮文庫)

● きよしこ        重松 清 (新潮社)

● 銀の匙     中 勘助 (岩波文庫)

● ワタシは最高にツイている    小林 聡美 (幻冬舎)

● ピアニストへの基礎        田村 安佐子 (筑摩書房)

● ピアノ奏法        井上 直幸 (春秋社)


 ※ 「日曜日の夕刊」、「きよしこ」の読後感想は → こちら
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by soleiljap | 2008-09-03 21:55 | ◇ 本