うららかな春の日差しを感じながら向かった先は上野の東京国立博物館。
今、話題になっている『長谷川等伯展』を観にいってきました。 東京での展覧会もあと少し。もう長蛇の列にも驚かない私ですが、今回は外で待っていたので、陽も陰ってくると足元からジンジン冷えてきて、温かいお茶飲みたいなと思う。持って行った本のお陰でなんとか時間をつぶすことができました。(待ち時間50分) もっと早く行こう、巨匠の展覧会!>自分 長谷川等伯(1539~1610)は桃山時代に生きた絵師。今から400年以上前、あの時代狩野派と真っ向から勝負し、豊臣秀吉や千利休を後ろ盾に一躍天下の大絵師となった野心家でもあります。 会場は7つの章に分けられ作品が展示されていました。 第1章は生まれ故郷能登で緻密な仏画を描いていた頃の作品郡。30才で上洛し、激動の桃山時代で秀吉や千利休の依頼で描いた、金色艶やかなる作品郡の第4章では、その絢爛優美な大作に息を呑むほどでした。 第5章の秀吉の没後、再び仏画を描き、京都の本法寺におさめられている、たて10m×よこ6mの「仏涅槃図」は圧巻です。 そして、最終章は水墨画。黒白の濃淡が視野に入った途端、気持ちは「松林図屏風」に向かい、はやる気持ちを抑えながら、じっくりと等伯の繊細で大胆な墨の筆致を堪能しました。 最後を飾るのは勿論、等伯の代表作「小林寺屏風」。 語らずして語る、描かずして描く。余白にこれほどの物語を含む絵が他にあるでしょうか。静謐で力強い。多くの人が語るように、まさに画面から匂いや風、空気までも伝わってくる感じです。 屏風の和紙の貼り方から、さまざまな憶測も語られていますが、400年もの時を経て、今尚人々を感動させるパワーは紛れもなく等伯という偉大なる芸術家がいたからですね。 等伯の作品を、章を追うごとに観て感じたことは、そのたびに違う画家が描いたのではないだろうかと思うほど新鮮で衝撃的でした。変幻自在にどんな絵も描ける人。時代を読み、何を求められているかを瞬時に理解する画家。それほどに感性が鋭く、才能に溢れ、エネルギッシュな人だったのでしょう。 いい作品は呼吸をしています。何百年たっても、色褪せることなく人々を魅了し、語り継がれてきているのはのそこに作者の魂(心)がこめられているからだと思うのです。 バッハ (1685~1750)の音楽が現代音楽の中にあっても古臭さを感じさせないのも、ダビンチ(1452~1519)のモナリザの微笑を今なお体温とともに感じる事ができるのも、やはりそこに命が宿っているからだと思う。 この日、他にもう一軒いきたかったのですが、等伯の素晴らしい作品にお腹が一杯になり、そのまま家路についたのでした。 長くなりました! まだ書き足りないくらい……。 東京の等伯展も残すはあと2日?お時間のある方は是非行ってきてください。 等伯展を観にいく途中、木立が綺麗だったので携帯で撮りました。
by soleiljap
| 2010-03-21 09:32
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