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なつかしいひと
最近の読書の連鎖はとどまることがなく、今も進行中の本が3冊。 同時に数冊読むのってどうなの? といつも自分に問うています。
図書館から“到着メール”の連絡がはいると、会社の行き帰りにピックアップ。 その度、どんな本かしらと、数行目を通すと、もう止まらなくなってしまう。 たまには面白くない本もありますが、最近はあまり外れがない。

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平松洋子の 『なつかしいひと』

その前に
一番最初の平松洋子との出会いは、『おとなの味』。最初の一行でファンになった。
書きだしはこう。

夏休みの昼寝は、いつも水色のボンボンベッドだった

そうそう!私も同じものを使っていた。 ビニール製の3段折りのベッドは開く時、カチカチカチと音がして、私が水色、妹がピンク。 ビニール製だったので、寝返りをうつたびにキシキシと音がして汗ばんだ肌にべっとりとくっつくのが嫌だったっけ。(笑)

世代が同じだからか、彼女の視点はいつも自分のそれにジャストミートして、彼女の書くものはどの本も楽しく、あっという間に読破しました。


そして、今回の 『なつかしいひと』 は今までのエッセイとはちょっと違うかも。(そう感じたのは私だけでしょうか)
食べ物や道具類へのこだわり、たくさん食べ歩き、沢山見てきたものしか語れない切り口で今までは、腕まくりしながら書いている平松洋子の姿が目に浮かんだのですが、この本は今までのものとは少し趣が違いました。
エッセイなのですが、随想という言葉のほうがぴったり合う。
たおやかになびく柳のように、しなやかでゆったりとした空気感は、いつまでもここで寛いでいたいと思わせるもの。

一瞬を切り取ったその瞬間に平松洋子は彼女の世界をここ狭しと描いていきます。絹糸が繊細な工程でおられる布のように、五感全てを総動員させるその光景は、ただ「うんうん、そうなんだよね・・・」と、うなずくばかりでした。

読み終えても暫くその情景や感触、ゆれる心の移ろいまでも残像となりはりついていました。
めくるページを名残惜しみながら読んだ本、久しぶりです。普段なら図書館に返して終わりなのですが、やはりこの本も手元に置いておきたい。さっそく本屋へ走りました。

秋の夜長にお勧めです。
「野蛮な読書」は今読んでいるところです。


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そして、気になる本

 有吉佐和子  『青い壺』
 石井好子   『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』
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by soleiljap | 2012-10-10 12:05 | ◇ 本
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