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ラファウ・ブレハッチのリサイタルに行く


2009年2月14日(土) 
東京オペラシティコンサートホール


  ●モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16番 変ロ長調 K.570
      第1楽章 : アレグロ
      第2楽章 : アダージョ
      第3楽章 : アレグレット
  ●ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第2番 イ長調 Op.2-2
      第1楽章 : アレグロ・ヴィヴァーチェ
      第2楽章 : ラルゴ・アパッショナート
      第3楽章 : スケルツォ、アレグレット
      第4楽章 : ロンド、グランツィオーソ
          ~~~~~
  ●ショパン:4つのマズルカ Op.17
      1.変ロ長調
      2.ホ短調
      3.変イ長調
      4.イ短調
  ●ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調Op.53「英雄」
  ●シマノフスキ:変奏曲 変ロ短調 Op.3

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ポーランドで生まれ育ったラファウ・ブレハッチがショパンコンクールで優勝したのは2005年のの10月。それだけでも凄いことなのに、なんとこの時、マズルカ賞、ポロネーズ賞、コンチェルト賞の副賞をすべて受賞するという快挙を成し遂げたのです。同じポーランド出身で、やはり1975年にショパンコンクールで優勝したクリスチャン・ツィメルマンからは、「最優秀ソナタ演奏賞」が贈られました。母国が同じという二人は今でも師弟のような関係だと聞きます。

1985年6月30日生まれの今年24歳。
今回パンフレットを見て驚いたこと。それはなんと私と誕生日が同じだということーーー!!
キャーーーーーっ(絶叫) ・・・・(コホン。失礼)

ブレハッチのことは友人から沢山聞いていました。数多くの巨匠といわれる世界中のピアニストの演奏を生で聴いているY子さん、一昨年、ブレハッチが来日した時もオールショパン・プログラムですでに聴かれていて、その素晴らしさについて何度も話されていたので、ブレハッチが来日すると教えてもらった時は、絶対この目で耳で聴いてみたいと思ったのです。
それが昨年の夏の終わり頃でしたから、約半年、どれだけこの日楽しみにしていたことでしょう。


当日は春一番が吹いた暖かな日。初台のホームからオペラシティに直結するエスカレーターを足早に駆け上がり、石の階段を、やはり駆け足でのぼってホールへ入ったときは汗びっしょり。
ロビーには沢山の人が溢れていて、隙間から、『本日サイン会を行います』というプラカードが目に飛び込んできたときは、ヤッターと小さくガッツポーズをしました。
1階22列18番。通路に刻印された数字を追いながらチケットに書かれた自分の席に向かうと、なんとホールのほぼ真ん中。(とってくれた友人に感謝)

先に着いていた友人と彼女の娘さんとおしゃべりをしながら開演の瞬間を待っていました。今思い出しても私が現実のものとして覚えているのはここまで。

魂が震えるほどの感動を味わったのはその15分後。それからは夢の中にいました。
照明が落とされ、客席から静かに喜びの波のような声が起こった。ステージに現われたブレハッチ。華奢な身体、巨匠を言われる人達の多くが、煌びやかにその存在を示す空気感はなかったように思います。静かに微笑み、会釈後ピアノに座って弾き出すまでの時間があまりにも早かったので、気持ちがついていくのに焦ったのを覚えています。

モーツァルトのソナタ16番。流麗で繊細、そして優しく気品にあふれたピアノの音。こんなに美しく透明感のある音は聴いたことがありません。(断じていえます)
澱みのない音の世界。それは、どこまでも清く濁りのない人間が出す音なのだと思いました。

後半、その清流はさらに深く透明度をましていきました。1600強の観客が入るホールはほぼ満席。静寂の中に流れる美しいメロディに観客は酔いしれていたに違いありません。
「英雄ポロネーズ」が終わった瞬間、客席からの割れんばかりの拍手。凄かったです。拍手の手は頭より高く、ずっと鳴り止みませんでしたから。

最後、それまでで一番長い間、ピアノの前で集中していたのではないでしょうか。
時間まで止まってしまったかのような静寂が続いて、最後のシマノフスキの変奏曲 変ロ短調がはじまりました。静かに心に届く音。涙が溢れてきました。

ずっと、ずっと、ずーっと鳴り止まない拍手。ブラボーの声。立ち上がって拍手する人。手がジンジン痺れていました。 

アンコールは3曲。ショパンのプレリュード4番と、次がマズルカOp.56-2。3曲目はドビュッシーの月の光、うっとりとこの世のものとは思えない美しい音。このままずーっと演奏が終わらないで欲しいと心から思いました。

二日たった今日、あのときの時間を思い出すのですが、やはり、今も夢の中の出来事なのです。 
それでいいのです。現実とは相容れない夢の世界のこととして、ずっと胸の奥にしまっておこうと思います。


ラファウ・ブレハッチのリサイタルに行く_a0029889_2232970.jpg
サイン会は長蛇の列。勿論、私たちも並びましたよ。私はCDをもっていなかったのでパンフにサインしてもらいました。
この上品で透明感のある姿、素敵でしょう。彼の周りの空気は清らかで澄んでいました。サインをしたら一人ずつに「はい」と言って(私にはそう聞こえた)、ちゃんと目を見て渡してくれました。こんなところにも彼の人間性があらわれていますね。


【追記】
アンコールの2曲目は 「マズルカOp.56-2」とのこと。 本文に書き足しました。  Y子さん、ありがとう。
by soleiljap | 2009-02-17 10:33 | ◇ 音 楽
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